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熱中症事故をテクノロジーで防ぐ!~建設作業員を守るIoTソリューションとAI技術~

『239』

これは何を表す数字だと思いますか? 実はこの数字、2018年に熱中症で死傷した建設就業者の数で、厚生労働省が発表したものです。

全業種の職場において、2018年度の熱中症死傷者数は1,178人。なんと、そのうちの約2割にあたる239人が建設就業者で、全業種の中で最も多い業種ということが顕著になりました。

厚生労働省_職場における熱中症による死傷災害の発生状況厚生労働省|平成30年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」|https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04759.html

年々増加する建設従事者の熱中症事故にストップをかける効果的な対策は、ないのでしょうか? 今回は建設業界での熱中症について考えてみました。

なぜ建設現場での熱中症事故は減らないのか?

建設現場での熱中症事故

建設業界では、かれこれ20年以上も前から熱中症事故への注意喚起がされてきました。定期的な水分の補給や、適時に休憩をとることなどは、熱中症予防の対策として王道と認識されています。

毎年、梅雨が明ける時期になると20年以上たった今でも、現場の朝礼やKY(危険予知)ミーティングの際には、必ず熱中症が重点項目として喚起されます。しかし、今も建設作業員の熱中症事故数は減少せず、逆に増加傾向にあるのです。

2018年度の死傷者数239人も氷山の一角だと見る向きもあります。これほど熱中症への対策が喚起されているにも関わらず、どうして事故は減らないのか? そこには建設就業者のさまざまな心理がおよんでいると分析されています。

作業員の意識に頼る熱中症対策は限界がある

多くのベテラン作業員や、安全衛生管理を兼務する職長らは、熱中症の危険性について重々承知していながらも、作業の進捗度と工期の兼ね合いを重視するあまり、適切な水分補給や休憩時間をとらない、または部下の自己管理に任せてしまうことがあります。

また、新入社員など若い作業員は、自身の体に起きている変化に気付きにくいことに加え、体調不良を上司に申告しづらいことなどから熱中症を発症するケースが多くみられます。

つまり、頭では分かっていても、実際の行動に移さない、もしくは、移せないといった切羽詰まった心理が、炎天下の建設現場では蔓延しているというわけです。

数年前から、このような作業員の心理状態と熱中症の発症率が深く関係していることが強く指摘されはじめました。そのため、現在では現場単位で厳しく休暇ルールを設ける元請け会社なども多く見られるようになりました。

いずれにしろ、建設業の熱中症問題は、作業員個人の自己管理による対策では限界があると言っても過言ではないほど、深刻な問題となっているのです。

水分を取る建設作業員

建設作業員を熱中症から守るIoTソリューションとAI

「作業員の自己管理に任せる熱中症対策には限界がある…」

この問題に正面から取り組み、熱中症事故の原因となる根本に「テクノロジーの分野」から切り込んだ対策が近年注目を集めはじめています。ここではその一部をご紹介したいと思います。

■ loTとAIで熱中症リスクを管理&サポートする「ウエアラブル型システム」

繊維事業を中心に、環境メカトロニクス事業などを展開するクラボウ(正式社名:倉敷紡績株式会社)が、建設現場での熱中症予防にむけた画期的なウエアラブル型システム「スマートフィット」を開発。作業服(インナー)に取り付けた端末が、作業員の体調変化や暑熱環境のリスクをリアルタイムで解析して、管理者に情報送信するというものです。

SmartfitSmartfit(スマートフィット)|https://www.smartfit.jp/

衣服に装着された端末が、日頃の作業員個人の脈拍や心拍数などの生体情報を解析し、自動学習(AI)機能によって、個人の当日の体調を管理者が把握できるのです。また、作業場の暑熱環境データをもとに、作業員個人の「熱ストレス」と「作業強度」の情報がインターネットを介して、リアルタイムで管理者に伝わるという優れものなのです。

そのため、管理者が遠隔地にいても各作業員の情報が確認でき、水分補給や休憩の指示ができるため、熱中症事故を未然に防ぐことができます。

自動学習(AI)機能によって、個人の当日の体調を管理者が把握

ほかにもあります。たとえば村田製作所と戸田建設が共同開発した「作業者安全モニタリングシステム」は、端末(センサデバイス)を作業用のヘルメットに装着し、作業員の生体情報や暑熱環境、作業強度などを計測。計測された個人のデータはクラウドに収集され、AIが解析。解析された情報をもとに、端末のセンサーが熱中症の可能性を予知すると、アラートが現場監督や管理者に送られ、安全確認を促すというものです。

作業者安全モニタリングシステム作業者安全モニタリングシステム-2村田製作所|作業者安全モニタリングシステム|https://solution.murata.com/ja-jp/service/wms/service/?intcid1=com_xxx_xxx_xxx_cent_sol-bd-tmb

当然、作業員の体力や暑さへの順応性は、個人差があり、日々の体調も同じではありません。作業場の暑熱環境も変化します。上記2例のシステムが優れている点は、個人の生体情報を根拠として、作業員の心理に関係なく、管理者から予防措置の指示がダイレクトに出せること。これら、IoTやAIを活用したシステムは、これまでになかった熱中症対策として大きな前進と言えるでしょう。

■ WBGT測定器とIoTソリューションを連係させた「熱中症見守り」システム

建築設備の大手である三機工業は、建設現場に特化したIoTセンサネットワークを開発し、「熱中症見守りシステム」としてサービスを開始しました。

熱中症見守りシステム三機工業|ニュースリリース|https://www.sanki.co.jp/news/release/article254.html

「熱中症見守りシステム」は、熱中症予防に用いられるWBGT測定器を子機として、あらかじめ現場内のあらゆる箇所に配置し、親機とIoT専用回線によって、現場管理者のスマホに警戒警報を知らせるというもの。

この「熱中症見守りシステム」はアイデアと構成はいたってシンプルであるものの、熱中症予防の指標として信頼性が高いWBGT値(暑さ指数)を効果的に活かした優れた事例と言えます。

熱中症見守りシステム (2)

常に建設業界の最前線において、現場作業員の事故に直面していた経験と「想い」が生んだシステムです。

最新の熱中症対策システムの導入メリット

これまでの熱中症対策グッズとは異なり、IoTソリューションやAI技術を駆使した、いわゆる「熱中症予防ハイテクシステム」を社内や現場内に導入するには、相応のイニシャルコストやランニングコストが必要です。

導入によって熱中症事故を確実に防ぐことができる利点は得られるにせよ、それ以外のメリットとしてどのようなものがあるのでしょうか。

メリット① 作業員の健康管理意識を高める

先に紹介した「ウエアラブル型システム」では端末によって作業員の生体情報が蓄積されます。このデータは、作業員自身が自分の体について知る上でも大いに役立つ資料となります。年に1度の健康診断と併せて、日頃から健康への意識を高めるツールとして活用することができます。

メリット② 会社のイメージアップにつながる

システムの積極的な導入は、現場での作業中に体調不良を感じたり、休憩をとりたいと望んでも、申告しづらい心理を会社が汲み取ってくれているとして、社員から高く評価されるメリットが考えられます。また、求職者に対して「社員を守る会社」として認識されることが期待できます。

個人と組織で本気の意識改革を!

建設業界では、未だに「3K」のレッテルがなかなか拭えていないのが事実。過酷な労働環境を一刻も早く解決するには、何よりも現役作業員の熱中症への予防意識が高まること。そして、会社や現場のような組織が本気で「熱中症ゼロ」を達成する取り組みが必要です。そして、組織の本気度を形にするために、今回ご紹介したハイテクシステムの導入を一考してみるのも良いかもしれません。

空調服

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