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AI × 人工衛星、IoT、AR、ドローン… 建設業界をリードする新たなソリューション

2018年4月4日〜6日に東京ビッグサイトで開催されたビジネスショー「第2回 AI・人工知能  EXPO」。満員の会場から、ビジネス面でのAIへの大きな期待が感じられました。出展しているブースも、ただ「AI」と言っているだけではアピールにならないからでしょう。特定の業界を狙ったサービスを打ち出す会社が増えました。

レポートの後編ではそんな中から、建設業界に向けたサービスや商品をご紹介します。「建設テック」「CON-TECH」などいろいろな呼び方をされますが、今建設業界に新しい技術がどんどん入ってこようとしています。

人工衛星×AIで宇宙から工事や建物をチェック

 スカパーJSAT株式会社、伊藤忠商事株式会社

最初は、宇宙規模のサービス。アジア最大の衛星放送会社、スカパーJSATの宇宙・衛星部門の人工衛星を使ったAIサービスです。

赤道上空3万6千メートルの静止軌道上に打ち上げられた人工衛星とAIを組み合わせています。下の写真のような、こんな小さな衛星が宇宙を飛んでいるのだとか。

人工衛星×AI

同社では現在17機の静止衛星を運用していて、地球全土を撮影しているそうです。それを使って、いったいどのような活用ができるのでしょうか? スカパーJSAT株式会社 技術運用本部 衛星技術本部 イノベーション推進部 アシスタントマネージャー 平田大輔さんに伺いました。

「こちらは『衛星ビッグデータ×AI』ということでスタートした、新しいサービスになります。衛星で地上を撮影した画像は1メートル程度までは識別できます。車のナンバーや人の顔まではわかりませんが、道路や建物、重機などは車の車種がはっきりわかります」

衛星はずっと写真を撮影し続けているので、その大量の画像をAIの画像認識で解析することで、変化をチェックできます。

「たとえば道路の老朽化などを確認することができます。決まった時間に決まった場所を撮影しますので、影の位置でビルが何階まで建てられたかといったこともわかります。都市開発などにも役立ちます。交通量や土地利用状況、人口密度などもわかりますので」

衛星ビッグデータ×AI

データはずっと蓄積されていくので、過去からの推移もわかります。

コストは案件によって様々ですが、工事進捗状況の把握のような既存メニューであれば数十万円から可能で、独自性の高い分析になると数百万円からになるようです。

スカパーJSAT|宇宙・衛星事業(http://www.jsat.net/jp/index.html

IoTとAIで建設業界の生産プロセスを見える化

 株式会社ランドログ

次は、国土交通省が推進する「i-Constraction(アイ・コンストラクション)」に役立つ新サービスです。建機メーカーのコマツが主導して、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムというビッグネーム4社が2017年10月に共同で設立した株式会社ランドログ。同社が「LANDLOG」というIoTプラットフォームをスタートさせました。

具体的に何ができるのか、株式会社ランドログ チーフインフォメーションオフィサー(CIO) 平岩浩之さんに話を伺いました。

「ランドログは、建機、車輌、ドローン、部材、スタッフなど、建設工事に関わるあらゆるものをカメラやIoT機器で繋いで動きや状態をデータ化、AIで分析するなどして、工事現場やバックオフィスで使えるように提供することを目指したプラットフォームです」

IoTとAIで建設業界の生産プロセスを見える化

具体的に活用方法を示したサービスもあります。それが「日々カメラ」です。建設現場全体を何台かの定点カメラで動画撮影し、その映像をAIが画像解析、各建機や作業スタッフの稼働状況をデータ化します。

稼働状況をデータ化

AIで、それぞれが稼働している時間だけを抽出し、下の様なグラフが表示できます。これがあれば、施工管理がデータででき、たとえば工事が遅れている場合に原因を探しやすくなります。

稼働している時間だけを抽出してグラフ表示

他にも、ドローンを工事前後の測量時だけでなく毎日飛ばすことで、現場の地形変化を毎日確認し、工事状況の把握や土量の確認、施工スケジュールの調整が可能になる「日々ドローン」も用意されています。

「まだ立ち上がったばかりのサービスですが、今後はコマツ以外の重機にも対応し、スマートグラスでランドログのデータが見られるアプリが開発されるなど、本格的に活用が進んでいます」

モノ、スタッフ、工事状況のデータは「i-Construction」の要の部分でもあります。中小企業向けに月1万円しないプラン(年間10万円)もあるそうです。

LANDROG(https://www.landlog.info/

ARで遠隔地から工事をサポート

 株式会社アウトソーシングテクノロジー

一時期、VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)が大きく注目された時期がありました。しかし現在、特にビジネスでは「AR(オーグメント・リアリティ=拡張現実)」が大注目されています。ARは現実の視界の中に図面や書類などを表示できるので、ビジネス向きです。工事現場でも使いやすいため、建設業界向きでもあります。

紹介する「AR匠」はマイクロソフトの「HoloLens(ホロレンズ)」を使ったサービスです。具体的内容について、株式会社アウトソーシングテクノロジー プロダクト&サービス課 セールスマネージャー 高橋博美さんにお話を伺いました。

「AR匠は、遠隔技術指導プラスARということで、遠隔地から現場作業をサポートするためのツールです。ホロレンズをかぶれば、現場と事務所が作業中の画像を共有しながら音声やチャットでのやりとりができます」

AR匠

「視界の中には、図面や書類を表示して丸を付けたり矢印を入れたりできます。電子マニュアルを表示したり、動画を流すことも可能です。操作は視線と指の動きで直感的です」

下の写真は、事務所側パソコンで確認できる映像です。現場スタッフがリアルタイムで見ている光景を表示できるので、工事の進捗状況を確認しながら指示ができます。

工事の進捗状況を確認しながら指示ができます

現場作業だけでなく、プレゼンテーションや会議などにも利用可能です。参加者が離れていても、目の前の光景を共有し、そこに建物や部材、インテリアなどを加えて確認していくことができます。

AIのイベントなのにAIが出ていませんが、次期ホロレンズはAI搭載のCPUが採用されるようなので、そうすると機能的にもアップしそうです。

次期ホロレンズはAI搭載のCPUが採用

ちなみにマイクロソフトはホロレンズを「AR」ではなく、VRとARを合わせた「MR(ミクスド・リアリティ=複合現実)」と呼んでいます。この「AR匠」はVR部分、たとえばCGのアバターを画面に登場させたりといった仕掛けを入れていないようなので、ARになっているそうです。

現在開発中で、2018年9月に完成し、発売開始する予定だとか。料金は未定ながら、「機器を含めて30万円ぐらいからにできれば」とのことでした。

現場写真をAIで仕分け

 株式会社アウトソーシングテクノロジー

最後に紹介するのは、上の「AR匠」と同じ会社のブースで紹介していた「写真の達人」。建設業界やリフォーム業界の悩みの種である現場写真の整理ソフトです。国土交通省「デジタル写真管理情報基準」に対応し、写真の仕分けや回転・拡大縮小・トリミングなどの編集が簡単です。

そのソフトがなぜAIイベントに出展するのか、株式会社アウトソーシングテクノロジー ソリューションサービス事業本部 ソリューションサービス開発部 建設パッケージソリューション課 野口大樹さんに伺いました。

「大手ゼネコンをはじめ、多くの企業でお使いいただいている『写真の達人』に、画像仕分けAI機能が新たに加わりました。写真取り込み時に、明るすぎる、暗すぎる、ピンぼけといった失敗写真を自動で検出します。工事別に撮影位置などを登録しておけば、撮影漏れがわかる機能も加わりました」

写真の達人

AIの機能としては地味ではありますが、意外と便利だと思います。パッケージソフトとして販売されていて、49,800円(税別)からです。

ちなみに次期バージョンではCADデータやBIMデータの取り込みが可能になるそうです。そして、「工事用黒板が写った写真は、黒板の内容を認識して自動で振り分けるなど、AIを使って作業を効率化していただけるよう考えています」とのことでした。

写真の達人(http://www.linetec.co.jp/photo.html

まとめ

AIは現在、画像・音声・文字を認識して、大量のデータを瞬時に分類することがもっとも得意です。そのため、ドローンからの撮影データで測量したり、建物や道路の写真から補修が必要な箇所を判別したりといった作業によく使われています。研究が急ピッチで進んでいて、今後は経営から設計、工事まで、様々な業務に採り入れられていくでしょう。

そうです、AIはインターネットやスマートフォン同様、全産業の基礎技術になっていきそうなのです。インターネットに早くから取り組んでいた企業が先行者利益を得たように、AIも今ならまだ先行者になれます。まず、一歩踏み出してみませんか?

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