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職方の技量を補うAIとは?~建設業界の人材不足・育成・技能継承問題を解決するテクノロジー最前線

2018年4月4日(水)・5日(木)・6日(金)、東京ビッグサイトで「第2回 AI EXPO」が開催されました。前回は「原宿のように混んでいた」と書いた記憶がありますが、今回はそれ以上。ラッシュ目前の東西線といったところでしょうか。何回も足踏まれました。

そんな中、建設業界目線で気になった新技術がありましたので、2回に分けて紹介します。

第2回AI EXPO

カメラ映像とセンサーデータをAIが解析してARに投影

 株式会社コンピュータマインド、加賀電子株式会社

会場で一番目を引いたのは、真っ黒な壁に「技能継承」と大書された、コンピュータマインド&加賀電子のブース。

「100年後に失われない時代へ」とも書かれています。これは熟練技能者の数値化できない技を、AIに移植することで残していこうという想いだそうです。

この会社がおもしろいのは、「技能をどうやって残すか?」ではなく、「残したものをどうやって使うか?」の部分です。技能継承というと、実地研修をしても新人が覚えられないとか、きちんとマニュアルをつくっても使われないということが起こりがちです。そこで、新人でも熟練の技が使えるよう、AIや各種ツールで、「間違えようがないぐらいわかりやすくサポートしよう」とシステムが組まれています。

具体的には、コンピュータマインド 開発本部 ソリューションGr. 営業Sc. 主任 石原翔さんに伺ってみました。

「現在、このシステムはまだ実証実験中です。私たちは山梨の会社なので、身近に多い農業で、農作物の収穫時期に、どの作物を摘み取ればいいのかを示すシステムをまず試しています」

そのシステムは

1.熟練の農家がどういう作物を摘み取っていて、どういう作物を摘み取っていないかの画像を大量に集める
2.AIに読み込ませて画像認識し、摘み取るべきかどうかを識別できるようにする
3.AIデータを一辺15cm程度の超小型コンピュータに入れる
4.畑で、3の超小型コンピュータに繋いだAR(拡張現実)のヘッドマウントディスプレイ(HMD)をかける

HMD

5.そうすると、目の前の現実の畑に図形や文字が出てきて、視界に入っている作物が収穫OKかどうか、指定してくれる
6.OKの作物を収穫する

という流れです。

このコンセプトが新しいのは、AIだけに頼っていないことです。数多くのブースが並び、AIという新しい技術だけを紹介するブースが多かったですが、ここはAIを頭脳として、行動できるソリューションに組み上げています。

エッジコンピューティングというこれから注目が集まりそうな技術も入っています。エッジコンピューティングとは、わかりやすく言えば、クラウドの反対です。今はクラウド全盛、AIもクラウド上に置かれることが多く、iPhoneに入っているSiriをはじめ、スマホやパソコン側ではデータのやりとりをするだけで、解析処理はクラウド上のサーバーで行っています。これだと処理が集中するため、高性能なサーバーが大量に必要になる上、インターネットに繋がっていないと動作しません。

一方、エッジコンピューティングは、AIを小さなパッケージにして、スマートフォンやパソコンなどの端末(エッジ)にインストールし、端末側で解析処理をします。しかも今回紹介しているシステムでは、オフラインでも使える超小型のコンピュータ端末にAIを組み込んでいます。これによって、携帯電話の電波が繋がらない農地や工事現場などでも使えるわけです。

ちなみにARの画面はこんな感じです。

ARの画面

これは道路の風景ですが、クルマが認知され、指示などが表示されています。何を認識させ、どういう指示を出すのかは指定できます。

建設業界でも、工事の施工や重機の運転で使えそうですよね。しかし、まだデバイスの性能が追いついていないこともあって、ビジネスで使うのは早くても来年になりそうということでした。

そのときには、各種センサーも加わっているようです。加速度、位置(GPS)、温度などセンサーを使えば、継承できる技能は大きく広がりそうです。

同社では、建設業界も今後のターゲットに入っていて、「たとえば手に持ったネジを画像認識して、留める位置を表示するといった、資材の正しい位置を指示する使い方ができますね。それから、加速度センサーを使えば、熟練工と同じ力加減で釘を打つ、といったことも可能になります」

ARのスキーゴーグルのような武骨で重いディスプレイは、ヘルメットと一体化したり、透明になったりという方向が考えられています。今後バッテリーが改良されれば、メガネ型になり、ゆくゆくはコンタクトレンズ型になるんでしょう。

実用化が楽しみです。

日常のチャット内容からAIが「本音」を分析して離職を防止

 株式会社アウトソーシングテクノロジー、AOSモバイル株式会社

もうひとつ紹介したいのは、ビジネスでも定着しつつあるチャットのやりとりから、AIが会社への不満や辞職意向などの本音を解析し、人事や上司に通知を送る、「離職防止ソリューション」です。

AI活用で最近増えているのが、HR(Human Resource)分野。採用、教育、評価、配属などの人事業務です。ソフトバンクが新卒採用のエントリーシートの合否判定をAIで行っているように、大量の応募書類を処理するためには、人間よりAIのほうが効率的です。

今回紹介するAIシステムが解析しているのは、大量のチャット会話です。なぜ離職防止をテーマにしたのか、出展者のAOSモバイル株式会社 マーケティング部 セールスマネージャー 永沢篤さんに伺いました。

「『InCircle』というビジネスチャットを展開し、金融機関や官公庁をはじめ多くの企業様にお使いいただいているのですが、お客様から『若手の早期離職者が多くて困っている』という声が聞かれました。そんな声にAIでお応えしようと考えました」

インサークルInCircle(インサークル)https://www.incircle.jp/

仕組みはこうです。

1.社内のやりとりをInCircleで行う
2.離職者が出たら、その人の会話ログをAIが解析する
3.チャット内で離職につながりやすい単語、会話内容、会話数などをAIが識別し
4.人事担当者などにアラート(警告)通知が届く
5.面談をするなどでフォローし、離職を防ぐ

良くないことですが、離職者がたくさん出るほど、精度が上がっていきます。AIの解析が表示される人事の画面ではこのようなグラフや数値データが確認できます。

インサークルの画面

離職に繋がりやすいキーワードが発言された時期と回数、どのグループ(チャットはグループをつくって会話することが多い)でよくキーワードが出てくるのかなどが可視化されます。これをもとに、社員の状況などを推測します。

離職防止ソリューションが付いてビジネスチャットの利用料金は1ユーザー月額180円からです。離職者で悩んでいたり、メールでは効率が悪いと考えていたりする場合は、検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

今回の「AI EXPO」は前回より出展社数がぐんと増え、バラエティ豊かになりました。AIを導入して使ってみたいけれど、予算も知識もないという企業では、「離職防止ソリューション」のような、パッケージとして確立しているサービスがいいかもしれません。導入の準備が簡単で、コストも低く、多くはお試しも可能です。自社用に開発する場合、そう簡単にはいきません。

今現在、比較的確立されたAIサービスには、下記の様なものがあります。

●チャットボット:顧客からの問い合わせに自動で答えるサポート用サービス。想定される質問と答えをAIに学習させて、対応を自動化します。
●アクセス解析:Webサイトのアクセス解析をAIが行い、アクセス数の変化や、サイトの作り方アドバイスをもらえるサービス。メニューの位置や内容、デザインなどのアドバイスでは、変更するとどのぐらい効果が上がるかという予測値も確認できます。
●来店者分析サービス:店内カメラの映像をAIが画像解析し、来店者の年齢や性別、来店回数、店内での行動、購入したかどうかなどをデータ化してくれるサービス。これにより正確な年齢別・時間別の来店者数や買上率などがわかり、店内レイアウトや品揃えに活かせます。

***

インターネットやスマホのように、AIはこれから「当たり前の技術」になる勢いです。今からでも、試してみる価値がありそうです。

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