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建設業界目線で見る「第1回AI/人工知能 EXPO」レポート

AI(人工知能)はビジネス活用の段階に

急速に発展が進み、注目が高まる「AI(Artificial Intelligence=人工知能)」。数年前までは、AIに仕事を奪われる、AIに人間が支配されてしまう、という不安の声が多く聞かれました。しかし、AIを搭載したチャットボット(チャット式の自動テキスト会話システム)や、Appleの「Siri(シリ)」を始めとするAI音声アシスタント、ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」といったAI搭載ロボットなど、議論より先に実際の生活のなかにAIが入ってきて、それがある程度使えるものだったため、身近な存在になりました。

今では、第4次産業革命の核として期待され、AIを自社のビジネスにどう取り入れていくのかという実用化の段階に入ってきています。

AIの話題は毎日メディアを飛び交っていますが、建設業界やリフォーム業界では、どう取り入れていけばいいのか、それを考えるヒントになるイベントに行ってきました。

「AI・人工知能 EXPO」とは

2017年6月28日(水)~30日(金)、東京ビッグサイトで開催されたAIのビジネスショーが「第1回AI・人工知能 EXPO」。それまでAIのイベントというと、AIを研究する学者の講演会や、エンジニアのためのAI勉強会といった専門家向けのものが多く、一般のビジネスパーソンが気軽に参加できるものはほとんどありませんでした。

そんななかで登場したのが、「AI・人工知能 EXPO」。企業向けにAIを提供するベンダーが数多く出展し、相談&商談できる大型イベントです。VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)や、AR(オーグメンテッド・リアリティ=拡張現実)という、こちらも注目度の高い周辺技術の出展もあり、とにかく人、人、人の波でした。

出典:AI・人工知能 EXPO

編集部では混雑を予想して、一番空いていそうな木曜日の夕方に行ったのですが、AI関連のブースが集まる通路は満員電車状態でした。間違いなく今まで経験したビジネスショーで一番混雑していました。

平日3日間の来場者数は、なんと8万人超え。東京都狛江市や埼玉県和光市といった自治体の人口規模の人数です。主催者の事前予測では15,000人だったそうですから、5倍以上です。

「第1回 AI・人工知能 EXPO」来場者数

出典:AI・人工知能 EXPOプレスリリース

一方、会場マップを見ると、広大な会場のうち、AI関連のスペースはほんの一部でした。そこに人が集中するので、混雑するはずです。AIに興味を持つ人は多いものの、AIを企業に導入できるベンダーはまだまだ少ないということなのでしょう。今のうちに導入して、他社に差をつける大きなチャンスでもあります。

そこで編集部では、建設業界・リフォーム業界で使えそうなAI技術を選んでチェックしてきました。「AIってウチの会社のどんな業務ができるのか?」「興味はあるが、コストが高そうで」という方に向けて、わかりやすく解説していきます。

AIを導入するには3つの方式がある

「AI・人工知能 EXPO」には、AI関連の110社ほどがブースを並べ、自社製品をアピールしていました。ただ、「AI活用のために、ディープラーニングを応用して、お客様企業の経営課題解決を支援します」、「豊富な機械学習のノウハウから、AIを活かした独自製品でビッグデータ活用を支援します」といった、導入イメージを描きにくいものが多く、予備知識なく行っても戸惑ってしまうでしょう。そこで最初に前提となるAI導入のための基礎知識を説明しておきます。

そもそも「AI」とは人間の頭脳を模したソフトウェアのことです。なんとなくロボットや巨大な機械を想像しがちですが、コンピュータにインストールして使うということでは、エクセルと変わりません。ビッグデータや大量の画像を扱う場合は、スーパーコンピュータ級のハードウェアが必要になることがあるという違いはありますが。

ですから、会社に業務システムやMA(マーケティングオートメーション)を導入するのと同じように、AIの導入方式には3つの選択肢があります。

①専用AI開発

自社で使いやすいように最適化した、専用のAIを組み上げていく形です。AIをスクラッチ(一からすべて)で開発するというよりは、ベンダーのAIをカスタマイズする形が多いでしょう。

②オープンAIをAPI利用

今、AIの基本的な部分(パソコンのOSのようなもの)は、オープンソースとして誰でも使えるように公開するベンダーが増えています。利用料金も基本的に無料か、わずかな額です。それは、AIを無料にして、そこから得られた膨大なデータを活用するためだと言われています。利用する際には、API(Application Programming Interface)で接続して、「音声認識」や「画像認識」など、必要な機能を使うカタチになります。

・主なオープンソースAI
IBM/「Watson(ワトソン)
Google/「TensorFlow(テンソルフロー)」
Microsoft/Microsoft Cognitive Toolkit(マイクロソフト・コグニティブ・ツールキット)
Amazon/Amazon Machine Learning(アマゾン・マシン・ラーニング)」
百度(バイドゥ)/Warp-CTC(ワープCTC)

③パッケージ・ソリューション

AIベンダーが用意するパッケージ化されたAIをアプリケーションとして使う方式です。「問い合わせ受付用AI」、「経営データ分析用AI」など、用途を絞って提供されていることが多いです。

コストは1、2、3の順で高くなります。必要な手間や時間も同じです。それでは、いったいどんな仕事ができるのか、EXPO参加企業を紹介しながら見ていきましょう。

今ならAIコンサルが9万8000円!

出典:DATUM STUDIO ※上は会場で配布されたパンフレット

会場を回っていて、もっともインパクトが大きかったのが、DATUM STUDIO(デイタムスタジオ)株式会社の「人工知能導入コンサルサービス 98,000円」の看板。このイベント限定で先着20社限定とはいえ、10万円を切る値段でAIが導入できるかもしれないというのは衝撃です。

上の導入方式で言うなら、①の専用AI開発のためのコンサルティングが10万円です。データサイエンティストが多く在籍するビッグデータ解析が得意な会社で、導入検討企業の経営データやSNSの投稿、IoTセンサーのログなどから、未来を予測するAIを開発してくれるそうです。たとえば下のような予測ができます。

出典:DATUM STUDIO ※上は会場で配布されたパンフレット

何をどうすると、経営数字が予測できるのか。たとえば個人向けの新築住宅やリフォームの見込み客(リード)が契約に至る率を例に説明してみます。

まず、御社の今までの営業履歴のデータ、国や業界団体などの住宅購入者やリフォーム契約者のデータ、競合のデータなどから、入手できるものをAIに読み込ませます(機械学習)。データからAIが契約に至る顧客の特徴を細かく解析します。その結果を見込み客のデータに当てはめて、契約率を予測するという流れです。

どんなデータを使うのか、見込み客のデータはどこまで入力するかなど、AIは開発中も、使い始めてからも調整が必要なので、コンサルの役割は重要です。ちなみにイベント限定だと9万8,000円ですが、通常価格は100万円~だそうです。

チャットボットが月1500円から可能に

現在、パッケージ・ソリューションとして一番実用化が進んでいるのは、「チャットボット」。サイトの問い合わせを自動チャットで返答するシステムです。AIは相手の書いたテキストから求める内容を解析し、返答データベースから最適な答えを自動で応答します。

出典:チャットプラス

最近では、横浜市清掃局の粗大ゴミ問い合わせ用のチャットボットに「ごみの名前は?」と聞かれて「旦那」と答えたら、哲学的な返答があったというツイートが話題になりました。

AI技術的には、言語認識と自然言語処理がメインで、ある程度のレベルまで実用化が進んでいることもあり、今回のEXPO会場でもチャットボットを推すブースが数多く見られました。

中でも目立ったのは、株式会社ネットシーズの「チャットプラス」。月々1500円からチャットボットが導入できます。ここの場合は、イベント限定ではなく、通常価格です。10日間の無料トライアルもあるので、興味のある方はどうぞ。個人向けの戸建て住宅系やリフォーム系など、問い合わせが多い会社だとメリットがありそうです。

音声認識で作業報告書ができる

出典:東芝デジタルソリューションズ株式会社
建設業界やリフォーム業界向けの展示もありました。たとえばコミュニケーションAI「RECAIUS」のフィールドボイス。

音声認識もAIで進化が続いている分野ですが、それを応用し、建設現場などで現場の「報告の入力が手間」、「作業中に手が空かない」といった課題に応えるサービスです。施工管理者や職人がスマホのアプリに報告するだけで、報告書に内容が自動で入力されます。

個人的にはAIの日本語の音声認識はまだまだ未完成だと感じていて、このAIもデモ時にはきちんと入力されていませんでした。英語だとかなりの認識精度になってきているようですので、その次ということでしょうか。

画像認識で手書きの図面を認識

AIによる画像認識も研究が進み、応用範囲の広いテーマです。建設・リフォーム業界でも活用できそうな業務が数多くあります。

EXPOで見かけたところでは、株式会社システムズナカシマの手書き図面認識が良さそうでした。電気・水道設備図面に手書きで書かれた部品をAIが認識し、CAD図形部品へと自動変換するシステムです。識別された部品を集計すれば、積算の拾い出し作業を大幅に軽減できるそうです。これは使えそうですね。

まとめ

ほかにも、たとえば人間の味覚を関知するAIなどもありました。AIが五感を解析できるようになると、デザインプランやインテリア提案などにも使えそうです。

と、新しい技術の芽も感じることができた「AI・人工知能 EXPO」。次回は既に2018年4月開催が決まっています。注目の分野だけに一般ビジネスパーソンでも参加しやすいイベントも増えていて、2017年10月11日(水)~13日(金)には、東京ビッグサイトで日経BP社主催の「ビジネスAI 2017」も開催されます。ぜひ一度AIの最前線を体感してみてください。

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