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分散型メディアで考える、建設業界のためのSNSマーケティング

SNSの時代

あなたの会社では、SNSを活用できていますか。SNSとは、Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略。インターネット上で人と人のつながりを構築するサービスを意味します。「コミュニティ型サービス」と紹介されることもあります。

具体的には、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム=インスタ)、LINE(ライン)などのプラットフォームです。

現在、Webの世界ではSNSの勢いがほかのWebサービスを圧倒しています。スマートフォンの普及が拡大していくなかで、空き時間や移動時間などのちょっとした隙間時間を、誰が押さえるのか注目されていましたが、今のところSNSの圧勝、スマホゲームが健闘という状況です。

特にFacebookと子会社のInstagramのグループは世界規模で突出していて、スマホアプリの人気を測る指標である「月間アクティブユーザー(MAU)※1」は、2017年6月にCEOのマーク・ザッカーバーグ本人が「今朝、2 billion(20億人)になった」と投稿しています。

国連の推計では、世界の人口が現在74億人ほどなので、3.7人に1人がアクティブに使っているという計算です。これはなんと世界全体の車の保有数(12億台※2)より多い数です。その普及ぶりに驚きます。

SNSの凄いところは、これだけ普及してビジネス的にも大成功していても、進化のスピードが下がらないことです。コンテンツ戦略に動画を取り入れ、ライブ中継を取り入れ、時間が経つと消える仕組みを開発し、と矢継ぎ早に新しい戦略を打ち出してきます。

そのSNS圧勝状態から生まれてきたWebマーケティングの新しい戦略が、「分散型メディア」です。

※1 MAU=Monthly Active Users=月に1度以上利用したユーザーの数
※2 世界全体の四輪車保有台数|日本自動車工業会

分散型メディアが誕生した背景

これまでのWebマーケティングの鉄則は、自社サイト戦略と言えます。自社のサイトに基本的なコンテンツを集約し、ビジネスに関連したオウンドメディアやリリース、社内の雰囲気を紹介するブログを更新し、その更新の告知をSNSで行なうというものです。

FacebookやTwitterでよく見かけるのが、内容の出だしがあり、詳しくはこちらとリンクがあり、自社サイトに誘導するというスタイル。今でもこのスタイルを続ける会社が多いです。

しかし、インターネットアクセスの中心がパソコンからスマホに移ったことで、いちいちブラウザを立ち上げて検索したり、ブックマークからアクセスしたりする人が減りました。その一方でSNSアプリのユーザーが増え、一般的なWebサイトよりSNSを見る時間が増えてきました。

SNSには自社サイトの情報を告知しているので、一見アクセスが増えそうに思えます。しかし、SNSの投稿で内容に興味を持っても、わざわざリンクへ飛んで読んでくれる人の数は少ないものです。

そこで出てきたのが、「分散メディア」。「SNSに読者が多いのであれば、そこにきちんとしたコンテンツを投稿しよう」という発想です。「内容の一部+リンク」ではなく、コンテンツ自体を各SNSに分散して配信することで、全体で1つのメディアとして機能させ、読者を最大化するのが目的です。

分散型メディア究極のスタイル

注目を集める分散型メディア。アメリカで2015年辺りから徐々に広がりを見せ、自社サイトにプラスして、Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSやYouTubeに全力で制作したコンテンツを投稿する企業も増えてきています。

究極の分散メディアとも言えるのが、アメリカのニュースサイト「NOW THIS」です。
公式サイト:「NOW THIS」

このサイト、アクセスするとわかりますが、自社サイトに下層はなくTOPページだけ。下にスクロールする部分さえありません。完全にSNSへのリンクページになってます。そして、「ホームページというのは言葉さえ古いので、SNSにニュースを届けます」と宣言しています。

その言葉通り、Facebook、Snapchat(スナップチャット)、Twitter、Instagram、YouTubeのページは充実しています。たとえばFacebookのNOW THISには、政治、エンターテイメント、Weed(マリファナのスラング。ぶっ飛んだ面白系)、未来、酒など、7つのメディアがあります。

内容も、元アメリカ副大統領アル・ゴア氏のインタビューといった本気度と難易度の高いものです。

Facebook|NowThis

この例は極端かもしれませんが、自社サイトだけでなく、SNSを重視してコンテンツ戦略を組むことは検討に値するでしょう。今のところ、SNSの地位を脅かす存在は見あたらず、登場すれば買収で吸収されそうです。

SNSは、サーバー費用などの初期費用が無料でサーバーメンテナンスなどの維持費も不要、使用料もかかりません。導入ハードルが低いので、試しやすいというメリットもあります。

主要SNSプラットフォーム比較と建設業界での活用方法

では、実際にどのSNSにどのぐらい力を入れるかというメディア戦略を組むために、主なSNSとYouTubeのユーザー層や特徴などを比較した表を作成しました。

※MAUは各プラットフォームの発表やイベントでの発言等を元に掲載

建設業界の場合、BtoBでマーケティング対象が企業ということも多いので、Facebookがメインになるでしょう。SNS運用を担当する方が他社との交流意欲が強ければTwitterを加えます。企業名の公式アカウントをつくり、同業他社のツイート(投稿)をリツイートするなどして関係を結んでいきます。そこから輪が広がっていきます。建設業界でSNSを日常的に活用している企業は少ないので、コミュニティに入りやすいと思います。

個人住宅メインの建築会社や設計会社、リフォーム会社といった、BtoCでマーケティング対象が個人の場合も、SNSのメインはFacebookがいいでしょう。メインの顧客層である30代~50代の男女に一番広く安定して使われています。

そして個人対象で女性顧客にアピールしたい場合、今ならInstagramは挑戦してみたいところです。施工実例を動画や写真に撮影して、ギャラリーのように展開していきます。Facebookで企業としての安心感をアピールし、Instagramでデザイン面をアピールするといった分散をすると、それぞれのユーザー層に合います。

建設・リフォーム会社のSNS戦略事例

次は事例編。建設業界の企業が、SNSを実際にどう使っているのか、印象的な事例を紹介します。

Facebook、Twitter、動画配信の優等生

最初は手堅いSNS利用のお手本のような事例です。静岡県浜松市で注文住宅とリフォームを行なう工務店「桑原建設」。デザイン性の高い自社サイトに加えて、FacebookとTwitterを分散展開しています。SNSではありませんが、Ameblo(アメーバブログ)もあります。

優等生と書いたのは、まず使い分けが上手なこと。Facebookはあくまで法人の顔。オシャレな施工実例を中心に、工事中の写真と原稿で技術力をアピールする形です。一方でツイッターはアメブロの更新告知として、料理の話など新しい家に住んでからの生活に関わる情報も盛り込んでいます。しかしそこでも、社員のお昼ご飯的な、くだけた内容ではなく、フィトケミカル(健康に良い成分)を多く摂取できるメニュー紹介や、モデルハウスで梅酒を漬けているといった、ビジネスの視線はきちっと残しています。

Facebook|桑原建設

それから、上の投稿で動画が投稿されていますが、これも優等生らしい使い方です。今、SNSのタイムラインは奪い合いになっていて、いい投稿をしないとあまり表示されなくなっています。要は検索におけるSEO対策のような戦略が必要になっているのです。その際、動画はFacebookのアルゴリズム(順位決定の仕組み)では高い得点を得られます。上の動画は静止画をスライドビューさせたもので、正直に言ってクオリティは高くありません。しかし、それでもテスト的にでも投稿してみることがSNSでは重要です。意外とアクセスが高い可能性があります。

Twitter|桑原建設

インスタとLINEを分散利用

Instagram|ナガタ建設

福岡県太宰府市で建設、リフォーム、不動産仲介を行なう「ナガタ建設」。Instagramで施工写真を中心に掲載しています。工事中の動画などもあり、物件ばかりだと冷たい画面になりやすいところにアクセントを加えています。Instagramのホーム画面は正方形のサムネール画像が並び、広がりが見せにくいので、引きとアップを組み合わせて、バラエティ豊かに構成するとフォロワーが増えそうです。

また、インスタだけでなく、LINE@を使っていることも特徴です。

LINE@|ナガタ建設

LINEは友だちやグループなど、クローズな間柄でチャットをするメッセンジャーアプリという使い方の人が多いです。しかし、近年はタイムライン機能をつくり、SNSとしての性格を強めようとしています。今はまだそれほど利用率は高くありませんが、なんといっても国民の半分、スマホ所有者の8割以上が使うというインフラレベルの利用者数がいるだけに、人数にすると大きくなります。

その利用者数を背景に、企業が直接ユーザーに最新情報やクーポンを送ったり、個別の相談や問い合わせを受けたりできるのが「LINE@」。ナガタ建設では最新情報やイベント情報、相談受付に利用しています。LINE@はフリープランもありますので、試してみる価値はありそうです。

インスタで書類選考

最後は少しインパクトの強い事例。「大熊工業」は土木、建築(注文住宅とリフォーム)、インテリア(アジア家具・雑貨輸入販売)の3つの部門を持つ西東京市の建設会社です。この会社のSNS戦略は秀逸で、話題性と実利の両方を備えた採用告知は見事なものです。

上の「インスタ書類面接」はインテリア事業部限定で、応募者のInstagramのページで書類選考するというもの。Instagramのページがオシャレなら仕事もオシャレなはずという思い切った方法で、インターネット上でもちょっとした話題になりました。

で、そういう大熊工業のInstagramはどうなんだと言うと、オシャレとはまったく違う方向性。土木事業部限定で、「メロン肩採用」のページです。メロンのように肉厚で身が詰まった人を採用したいということですが、筋トレ好きや体育会系の人には大きくアピールできそうです。

Instagram|大熊工業

まとめ

分散型メディアの考え方と、SNSの使い方事例を紹介してきましたが、かえって実行するのが難しく感じた方もいるかもしれません。そういう方は、既存コンテンツをSNSに移すことから始めてみてはいかがでしょうか。

自社サイトによくあるコンテンツと、その移し先のSNSを挙げてみます。

企業ブログ → Facebook
各種リリース → Twitter/Facebook
写真ギャラリー → Instagram
メール連絡 → LINE@/Facebook/Messenger

数が多いので、1つに絞りたくなると思いますが、SNSは流行り廃りが激しいので、1つに依存しすぎないように注意してください。アップルのSNS(Ping)でさえサービス停止しましたし、華々しく登場したGoogle+も今や使っている人をほとんど見かけません。

そのリスクは、実は自社サイトも同じです。Webサイトが今の形でいつまでもアクセスされ続けることは考えにくいと思います。そういう意味でも、SNSを利用して、リスクは分散しておくべきでしょう。

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