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「360°動画」でビジネスは加速する! 建設業界のためのパノラマ動画活用法

動画全盛、VR登場で注目集まる360°動画

Webを中心としたデジタルマーケティングの世界は業界としては新しいこともあってか、次々に新しいテーマが誕生し、そのいくつかは大きなブームへと盛り上がります。

ここ数年で見ると、「動画マーケティング」が一番のブームと言えるでしょう。スマートフォンの普及によって、いつでも手元にスクリーンを持ち運んでいるような状態になり、格安SIMを提供するMVNO(仮想移動体通信会社)」が増えて通信費が下がったこともあり、動画視聴時間が大きく増加しました。

動画サイトのスタンダードであるYouTubeでは、1日の動画視聴時間が世界で10億時間を超えています(※)。年に換算すると10万年以上という数字です。そうして視聴者が増えたことで、動画をマーケティングに取り入れる企業も増加してきます。
YouTube 日本版公式ブログ(2017.02.28)

さらに細分化すると、動画というテーマのなかでも、ときどきで流行りが変わります。最近であれば、スマートフォン用の「縦型動画」、YouTubeやSNSでの「ライブ動画」、そして「360°動画」が注目を集めています。

特に360°動画は、「PlayStation VR(プレイステーション・ヴィーアール)」販売開始で本格化した「バーチャル・リアリティ(VR)」に近い効果があり、VR同様に注目されています。

そもそも360°動画とは?

具体的に「360°動画とは?」については、一目でおわかりいただけます。

引用:YouTube公式ブログ(2016.04.28)

特徴として、画面にはゲームのコントローラーのようなボタンが表示されます。そして動画再生中、パソコンであればマウスやトラックパッド、スマートフォンやタブレットであればタッチパネルで目線の角度を操作できます。スマートフォンには通常、傾きを検知するジャイロセンサーが搭載されていますので、向きや傾きを変えることで、視線の角度も変えることができます。

視聴者が360°全方位のうち、自分の好きな角度から動画を見ることができることから、「全天球動画」や「パノラマ動画」と呼ばれることもあります。特別な器具のいらないカジュアルなバーチャル・リアリティと言えるでしょうか。

360°動画のメリット

360°動画は制作にあたって、一般的な動画より手間とコストがかかります。360度全方向を映像に残す必要があるため、カメラなどの撮影機材は専用のものが必要で、編集作業にも専用の編集ソフトを使い、特殊な加工も必要です。

その手間とコストをかけても360°動画を使う企業が絶えないのは、こんなメリットがあるからです。

1)視点を変えることで動画の世界により深く没入できる
2)その場にいるような臨場感が味わえる
3)見る角度を変えるゲーム感覚が味わえる
4)自分で操作することにより自発的に動画を見るようになる
5)対象物や場所を今までになかった視点から確認することができる

それは広告効果にも現れていて、Googleによるとコカコーラがアメリカで行なった、ボトルデザイン100周年記念キャンペーンのWeb広告で、360°動画は通常の動画広告よりも「ビュースルーレート(動画を最後まで見た率)」が36%高かったそうです。
参考:Google Inside AdWords(2015.7.22)

その動画がこちらです。

100周年を迎えたボトル入りコカコーラを運ぶ自分に、大道芸人のようなエンターテイメントのプロたちが次々現れては祝福してくれる動画です。臨場感のある体験型の内容で、360°動画らしい仕上がりになっています。

YouTube、Facebookも360°動画に注目

360°動画が拡がっている理由のひとつは、YouTubeとFacebookが力を入れていることも大きいでしょう。

●YouTube公式チャンネル

YouTube公式チャンネル「バーチャル リアリティ

「バーチャル リアリティ」という名前ですが、YouTubeには360°動画を集めた公式チャンネルがあります。

・冒険しよう
・ゲームの世界
・音楽を感じよう
・いろんな場所に行ってみよう
・真に迫るストーリー
・現場レポート

といったプレイリストがあり、これらが360°動画に向いた企画の切り口だと言えます。

●Facebookは専用アプリ提供

ビジネス系SNSとしてマーケティングに使いやすいFacebookも、360°動画の投稿が可能です。すでに100万以上もの360°動画が投稿されているそうです。動画内に「360度動画」というラベルが表示されるものがそれです。

そして、360°動画専用アプリとして、サムソン社製のVRヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」に対応した動画再生アプリ「Facebook 360」も提供されています。サムソン社製のスマートフォン「Galaxy」が必要ですが、より映像のなかに没入できます。

 引用:Facebook newsroom(2017.07.27)

さらにFacebookはライブでの360°動画配信(Live 360)まで可能です。たとえばイベントやセミナーなど、リアルタイムでの視聴が意味を持つコンテンツは、積極的にライブ配信し、その動画をストックコンテンツとして利用することが可能です。

建設業界でも使えそうな360°動画事例

最後は、建設業界で360°動画を活用する際に参考になりそうな事例を紹介していきます。

●バーチャルショールーム、施工事例

建築物や不動産物件といった撮影対象は360°動画に適しています。人によって見たいポイントが違うからです。たとえばペットと一緒に住もうとしている人なら、床が滑るかどうか、壁はひっかいて傷になりやすいかなどが気になる人が多いでしょう。インテリア家具に凝っている人なら、背の高い家具が置けるのか、床は傷つきやすいかなどを気にする人も多いでしょう。といったように、ニーズが変わってくるので、一方的に流れる通常の動画より、自分で操作して上下左右を確認できる360°動画のほうが好まれそうです。

上の動画は新築戸建て商品のショールームを紹介する360°動画で、丁寧に外から中へと案内しています。それぞれ気になるポイントで角度を変えてチェックしていくことで、家への思いが強まりそうです。

●会社案内

リクルート向けの会社案内として最適なのが、社内や工場などを紹介する360°動画です。これには2パターンあり、お洒落な社内を説明なく見せるイメージビデオ風の動画と、上の動画のように社員が説明して回る動画に大きく分かれます。リクルート向けであれば、人の案内と説明、字幕付きで紹介していくほうが暖かみを感じてもらえるでしょう。

建設会社であれば、工事に使用できる重機や建機、特殊工具などを紹介する360°動画もリクルート向け、顧客向け、どちらにもいい印象を与えることができそうです。特に大型重機は見た目にも映えるので、サムネイル画像にも使えそうです。

●社員研修

工事現場の360°動画は社員研修などに役立ちそうです。リアルにその現場にいる感覚を持つことができ、足下や上方など、視点を操作して気になるポイントを確認することもできます。
教育だけでなく、企業顧客向けに技術力や使用している建機を紹介したり、個人顧客向けには工事する姿を見てもらうことで安心してもらう効果も期待できそうです。

●イベント紹介


日本三大花火大会のひとつ、長岡花火大会の模様を実際の観覧席で撮影した360°動画です。花火大会のような対象の大きなイベントは360°動画に適しています。空の上方を見上げたり、打ち上げ箇所に視線を下げたりで、飽きずに楽しむことができます。

●アクセス案内


会社の拠点や建設地などの案内にも360°動画は最適です。曲がる場所で視点を変えて目印を探したり、上を向けて標識をよく見たりで、使える動画になりそうです。スマートフォンのバッテリー残量さえあれば、スマートフォンで再生しながら進んでいく、実写版のカーナビにもなりそうです。

ちなみに上の動画を取り上げたのは、この会社が360°動画にとても熱心だからです。徳島の賃貸不動産仲介会社なのですが、家賃2万5000円のワンルームマンションでもバーチャル内見できるよう、360°動画を用意しているのです。画質と手ぶれと音楽が少し残念ではあるのですが、借りる側にとってはありがたい配慮です。

株式会社ハウスマイル/ ROOMWARP360
http://www.roomwarp.net/

まとめ

カジュアルなバーチャル・リアリティ「360°動画」、いかがだったでしょうか? 動画は写真や文字より訴求力が強く、360°動画はさらにその世界に入りやすいメディアです。そして、ただ情報を受け身で見ているだけではなく、操作することで自分から情報を取りに行く能動的な姿勢になります。上手に使えば、高い成果を得ることができそうです。

ただ、企画や撮影には専門的なノウハウが必要なことも事実です。たとえばテレビ局が制作した360°動画などを見ていると、制作側がテレビ慣れしているからか、カメラが視点を動かせてしまっていて、視聴者が操作する楽しみがないようなものも見受けられます。

360°動画は見せるものではなく、楽しんでもらうものだと割り切って、企画・撮影していくことをお勧めします。

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