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「AI/人工知能」導入は早い者勝ち 今から始める建設業界のためのAI基本講座

建設現場にもAIが入ってくる

ここ数年、AI/人工知能の話題が毎日のようにメディアを賑わせています。大手企業がAIを導入した、AIベンチャーが巨額の資金を投入したといった堅い話題から、碁や将棋でプロを破った、女子高生の会話AIが誕生といった柔らかい話題まで、幅広い分野で活用が進んでいます。

もちろん、建設業界にもAIの波は及んでいます。今のところはまず、建設現場で活躍する重機や建機にAIが搭載されそうです。

たとえば大成建設は、開発中の「次世代無人化施工システム」を搭載した自動運転可能な重機にAIを組み込むことを発表しました。

GPSや各種センサーを使い、AIが重機の位置やその周辺環境を確認し、無人で走行・作業できるシステムです。具体的には、センサーを通じて入手したリアルタイムの画像から、AIが人の動きを関知し、危険区域に入れば警報を発し、重機が自動で止まるといったことが可能になります。

▲AIを搭載する11t級振動ローラー

▲AIによる「人検知システム」のイメージ
写真提供:大成建設株式会社
内容参照:大成建設・プレスリリース(2017.05.08)

遠い未来のように思えますが、2019年には実証実験が開始される予定だそうです。

カンタンに知りたいAIの歴史

もちろん建設業界だけでなく、多くの業界でAIに注目が集まっています。2017年6月には東京ビッグサイトで「AI・人工知能 EXPO」が開催されました。日本初の人工知能関連のビジネスショーで、平日3日間のみの開催にもかかわらず、来場者数は8万人を超えたそうです。
引用:「AI・人工知能 EXPO」公式サイト

編集部からも見に行きましたが、満員電車状態だったそうです。これはもうブームと言っていいでしょう。

ただ、AIブームは始めてではなく、歴史的に見ると今回で3回目です。

AIとは英語で「Artificial Intelligence」の略で、人工的な知能を表します。つまり、「人間のような知能を持つ機械」ということなので、その考え方自体は昔からありました。フィクションであればそれこそ古代からありましたし、人造人間を創造しようとしていた中世の錬金術師たちも一種の人工知能研究者と言えるかもしれません。

そんな夢物語が、1945年頃のコンピュータの登場で一気に現実味を帯びてきます。そして1960年頃、第1次AIブームが起こりました。第2次世界大戦で研究が進んだ暗号解読技術から発展したこともあり、対話型のAIが発表され、世界を驚かせました。しかし、かなりレベルが低く、簡単な受け答えもおかしかったようで、当初の熱が冷めると、下火になっていったそうです。

そこからしばらくはAIは実現不可能と言われていましたが、1980年頃にはパソコンの登場に後押しされ、第2次AIブームが起こります。今度は対話ではなく、特に医療分野で病名診断などがもてはやされました。「エキスパートシステム」と呼ばれる方式で、専門家(エキスパート)が持つ病気の症状などの膨大な情報を入力し、それを元にAIが患者の症状から病名を診断するというものです。診断精度は高かったようですが、入力に手間がかかり、まだ実用するにはコンピュータの性能も低かったことから、ブームは再び下火になりました。

GAFAの鼻息でAIがブームに

そして、今回が3度目の人工知能ブームです。今回のブームの背景には、いくつかの要因があります。

1)コンピュータの性能が飛躍的に上がり、コストも下がってきた
2)インターネットで安価で高速な通信手段が生まれた
3)スマートフォンに搭載されたセンサーからさまざまなデータが取得可能になった
4)データをクラウドに保管することが当たり前になり膨大なビッグデータが手軽に使えるようになった
5)AI研究に莫大な資金が集まるようになった

5は特にアメリカのIT4強「GAFA(ガーファ)」(Google、Apple、Facebook、Amazon)をはじめ、IBM、Microsoftなど、豊富な資金を持ち、決断スピードも速い企業たちが競って人工知能開発を進めていることから、AIの進化には加速度がついています。

AIが人間を超える2045年問題

このままいくと、AIが「人間のような知能」ではなく、「人間を超える」知能を持つ日も遠くないでしょう。音声認識やスキャナーを発明した未来学者、レイ・カーツワイルは、「AIの知能の合計が人間の知能の合計を超える、シンギュラリティ(特異点)が2045年に来る」と予言しています。「それによってAIが自分で自分を進化させるので、もう人間には理解できない世界になる」とも言っています。

それは「2045年問題」と呼ばれ、世界中で議論が続いています。つい最近も、AI反対派である電気自動車メーカー・テスラの創業者、イーロン・マスクがSNSで「AIは潜在的に核兵器より危険」と警鐘を鳴らしました。彼はAI開発を規制すべきという立場で、AIに地球が支配された場合のバックアップとして火星移住計画を立てています。そのための宇宙ロケットメーカーも設立し、NASAの代わりにロケットを飛ばしています。

すると、AI推進派であるFacebookの創業者、マーク・ザッカーバーグが動画で反論しました。要約すると、「AI脅威論を唱える人のことが理解できない。無責任だと思う」と言っています。

彼は、開発の方向さえ間違わなければAIは脅威ではない、文句を言って開発を正しい方向に向かわせる努力をしないのは無責任だ、と言いたいのでしょう。
どちらの意見が正しいかは、確かに今後の開発次第で変わりそうですが、AI開発のスピードはもう緩むことはないでしょう。

今回の目玉はディープラーニング

「人類の脅威」とまで言われる今回のAIブーム、技術的なキーワードは「ディープラーニング(深層学習)」です。簡単に言えば、人工知能がビッグデータから自分で勉強し、賢く進化していくシステムです。

エキスパートシステムでは、膨大な情報を人間が入力する必要がありましたが、ディープラーニングでは、一定の方向性だけ人間が示すと、あとはAIが自習します。膨大なビッグデータのなかから、特徴なり出現パターンなりを判断基準ごと学習し、応用するというものです。

ディープラーニングの具体例としては、Googleが2012年に実施した「人工知能に猫を認識させた」ことが有名です。コンピュータ1000台で3日間、猫や人間などの写真1000万枚を認識させたところ、人間の顔、猫の顔、人間の体の写真に反応するようになったのです。これまでコンピュータの弱点とされていたことだったので、大きなニュースになりました。

2016年には、Googleが買収したDeepMind社がAIに囲碁のルールを教えずに膨大な過去の棋譜(対戦の記録データ)で学習させ、AI同士で3000万局以上の対戦経験を積ませた末、世界最高峰の棋士に勝利しています。こちらもまだ10年は無理と予測されていたので、大きなニュースになりました。

建設業界で考えられるAIの活用法

「猫を見分けられる」ことのどこがすごいのかと思われるかもしれませんが、これが応用範囲が広い技術なのです。

建設業界を例に取ると、

●工事現場の写真をAIが解析して、工事の進み具合を判断したり、工事の技術レベルを判断できる。 → その現場の工期を判断したり、今後の最適な作業人員を割り出したりできるようになります。

●道路や橋の写真をAIが解析して、劣化の度合いや補修が必要かどうかを判定できる。 → 補修箇所と予想費用を割り出したりできるようになります。

●リフォームの際、顧客の希望を聞き、AIが顧客の好みを判断して、最適な内装やインテリアを提案できるようになります。

など、さまざまな活用法が考えられます。工事現場やインフラの写真などは、そのうちドローンが撮影してくるようになるでしょう。ドローンが飛べない場所は、ロボットが行くようになるかもしれません。

ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」など見ていると、充分にリアリティのある話です。

そして、第1次AIブームで「人工無能」とまで言われた、対話型AIもすっかり実用化されています。

今、導入が相次いでいるのが、「チャットボット」。人間に代わって、まるで人間のようなコミュニケーションを自動で行なうプログラムです。実は未だに「人工無能」型が多いのですが、AI型のチャットボットも登場しています。

違いは、人間の言葉の意味や意図、文脈を理解して質問や返事をするかどうかです。

有名な例では、アスクルの個人向け通販サービス「LOHACO(ロハコ)」のお客様サポート用チャットボット「マナミさん」があります。
参考:LOHACOお客様サポート

AI搭載のチャットボットで、文章の意味を解析する「意味認識エンジン」と、データベースから最適な回答を選んで会話する「会話制御エンジン」を備え、24時間365日サポート対応してくれます。

サポート対応を人間が行なっている銀行などでも、電話の会話内容から回答の候補をAIが瞬時に選び出し、オペレーターの端末画面に表示するシステムが軒並み導入されています。

建設業界にとっても、AIが人材不足を緩和し、業務を効率化する大きな武器になるかもしれません。

まとめ

AIは単体で使うだけでなく、インターネット、スマートフォン、クラウド、ビッグデータ、IoT(ネット接続されたモノ)、ロボティクスと、今をときめく新技術と密接に繋がっているため、さらに活躍の場が拡がっています。

それは、第4次産業革命とも言われるほどのインパクトを社会に与えそうです。IT化の遅れが指摘される建設業界では、まだまだ導入例は少なく、今ならまだ先頭集団に入れます。ぜひ導入を今からご検討ください。

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